てんかんの発作は脳の過剰興奮により起こります。大脳は普段、神経細胞(ニューロン)が規則正しいリズムで電気信号をやり取りし、脳内で互いに調和を保っています。てんかん発作では、ニューロンが過剰に働くことにより、各ニューロンから激しい電気信号が発射され、脳内での調和が激しく乱れます(過剰興奮)。これにより、てんかん発作を起こし、意識を失ったりします。てんかん発作は「脳の電気的嵐」と言われたりします。
てんかんの種類
てんかんの原因は人により異なりますが、大きく症候性てんかんと特発性てんかんに分けられます。
症候性てんかんとは
症候性てんかんとは、血管障害、腫瘍、外傷など脳に何らかの障害が原因で起こるてんかんの事を言います。
特発性てんかんとは
特発性てんかんとは原因不明のてんかんの事を言います。てんかんは現代の医学ではまだまだ解明されていないことも多く、てんかんの半分以上は特発性てんかんと言われています。
潜因性てんかんとは
潜因性てんかんは元となる原因は推定されているが、確定していないてんかんの事を言います。
てんかん発作の発作型の種類と症状
てんかん発作の発作型は大きく分けると全般発作と部分発作に分けられます。
全般発作とは
脳全体で一斉に電気信号が過剰に発射される発作の事をいいます。
部分発作とは
脳の一部から電気信号が過剰に発射される発作の事をいいます。
てんかんの発症年齢
てんかんはどの年代でも発症する病気ではありますが、3歳未満の小児と65歳以上の高齢者でも発症する事が多い病気です。
てんかんの薬物療法
てんかんは上記の通り、発症理由が不明な事も多く、完治する薬は現代にはありません。ただ、治療薬を服用する事で発作を抑え、人によっては問題なく日常生活を送る事ができるようになってきました。診察で発作型の種類を判断し、その発作に合わせた薬を服用します。
各てんかん発作への治療薬
各てんかん発作で用いられる治療薬は発作の種類により、下表のとおり分けられます。
(※実際の処方は診察で患者さんに合ったものが処方されます)
発作型 | 第一選択薬 | 第二選択薬 | |
全 般 発 作 | 強直間代発作 間代発作 | バルプロ酸ナトリウム (妊娠可能年齢女性は除く) | ラモトリギン、レベチラセタム、トピラマート、ゾニサミド、クロバザム、フェノバルビタール、フェニトイン、ペランパネル |
欠神発作 | バルプロ酸ナトリウム、エトスクシミド | ラモトリギン | |
ミオクロニー発作 | バルプロ酸ナトリウム、クロナゼパム | レベチラセタム、トピラマート、ピラセタム、フェノバルビタール、クロパザム | |
強直発作 | バルプロ酸ナトリウム | ラモトリギン、レベチラセタム、トピラマート | |
脱力発作 | |||
部 分 発 作 | 単純部分発作 複雑部分発作 二次性全般化強直間代発作 | カルバマゼピン、ラモトリギン、レベチラセタム、ゾニサミド、トピラマート | フェニトイン、バルプロ酸ナトリウム、クロパザム、クロナゼパム、フェノバルビタール、ガバペンチン、ペランパネル、ラコサミド |
希少疾患 | レノックス・ガスト―症候群 | ルフィナミド | |
ドラペ症候群 | スチリペントー |
てんかん診療ガイドライン2018:日本神経学会より引用・一部改変
各てんかん発作の発作型については下記記事で詳説しています。
▼てんかんの発作はどんなものがあるの?種類と症状について
また、代表的な治療薬は下記記事で詳説しています。
▼てんかんの治療に使われる治療薬(抗てんかん薬)と副作用と一覧
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